2.零れる砂のアリア 第一楽章 悪夢
作詞:日山尚
作曲:なるけみちこ
昏き空の彼方 見上げる少年は
帰れない故郷(まち)を心に刻んで
痩せた父の背中を見失わぬようにと
凍える手を擦り 歩き続けた
陰る時代が映す世界は
脆く儚く まるで幻のごとく
滅びに向かう大地(ばしょ)
明日すらも約束されず
誰も夜明けを信じられない
等しく在るはずの太陽(ひかり)を奪い去る冬
死の影に怯えて なお生きる人々の
嘆きさえ消す程 吹雪は白く――
SIN TIRA
(矮小な理)
SIO SIE ARIA OLRY TINDHARIA?
(これが女神の望んだ世界だと?)
SIO SIE ARIA ARY SIRIA SYUA LORIA EN TIRA?
(女神が与えて下さった幸福だと?)
ふと立ち止まる 父の拳が鈍く光った
銀のナイフが僕を映して 木の実を砕いた
――逃げろ 逃げろ 逃げろ…
――殺されるぞ
――あの刃で僕の首を刎ねる気だ
誰かの囁きに 胸の鼓動が高鳴る
SIO SIE ARIA OLRY TINDHARIA?
(これが女神の望んだ世界?)
RIO OLRY LORIA? RIO SHIRY AU?
(誰が自由を欲すると云うのか? 誰が明日を悦ぶと云うのか?)
FEL OLRY ARIA...!
(死にたくはない…!)
足音と共に 耳に付く呪いの歌が嘲笑った
幾度も幾度も 繰り返される 父の言葉は
――死んでくれ 死んでくれ
VARIA...VARIA...
(死ね…死ね…)
何処へ逃れれば僕は
生きること 赦されるのだろう?
終わりなき悪夢…
走り続け 深い木々の狭間
白い花 咲き乱れる
静かな静かな湖の畔
辿り着いた その森(場所)で
僕は膝を折る
冷たい土に誘われるように
全てを委ねて…
WEL SIE RIO?
(あなたは誰?)
ARIA...ARIA...
(命…命…)
RIO ARY...ARY ARIA.
(誰かが生きてる…)
IO FIRY RIO OL SERIA.
(何かが多くの哀しみを与えている)
SYUA, LE WEL MERY RIO.
(だからどうか、彼を助けてあげて)
微かな鈴の音が 無数に鳴り響く
やがて優しい音色のひとつが
僕に声をかけた
「――一緒に行こう」
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